前回は「T式乳幼児発達検査」で分かる「感覚と行動の偏り」についてお伝えしました。
▶子育てに活きる豆知識vol.1【前編】春と秋 お子様の不機嫌のワケ
なかでも、「光をまぶしがる」という項目は、半数を少し超える保護者の方が「よく見られる」「時々見られる」にチェックをいれておられるということには、驚かれる方も多かったようです。
実はこの「光をまぶしがる」という感覚や行動に、「季節によって調子が悪くなる理由」が隠れている場合があるのです。
春と秋がつらい…
春と秋は一年の内で一番過ごしやすい季節ですよね。
でも、1割から2割程のお子さんにとっては、つらい季節になっているようです。
実は、その時期は、一日に浴びる光の量が大きく変化する時期。
具体的に春は3月から5月、秋は9月から11月がその時期にあたるでしょうか。
3月から5月は、昼が短い冬から夏に向けて夜明けが早くなると共に太陽の光がまぶしくなってきます。
逆に9月から11月は昼の時間が短くなると共に日差しも弱くなっていくのです。
日差しが機嫌の悪さと関係しているお子さんがいます!?
私たちは夜になると、脳の中の「松果体」という部分からメラトニンという「眠りホルモン」が出てくるので眠くなります。
朝、太陽の光を目に受けると、メラトニンの分泌が止まるので目が覚めて活動的になります。
春と秋は夜明けの時間と光の強さが変化する季節。
支援が必要なお子さんの中には、陽が差す時間と強さが変化することに伴うメラトニンの調整が上手くいかないため、睡眠障害で生活リズムが乱れて不機嫌になったり、動きが多くなっているのかも?と考えてみてください。
春の担任交代、秋の運動会かも
この時期に睡眠・覚醒リズムが崩れたり不機嫌になると、春は「新学期で担任の先生が交代したからかな」、秋は「まだ暑い時期に運動会の練習があるからかな」と思ってしまいます。
もちろんそれらが原因の場合もありますが、これまで述べてきた「陽差し」も関係しているかもしれません。
思い当たる場合は、記録を付けてみてください。次の年も同じ頃に気分の変調が見られ、本格的な夏や冬になり昼と夜が安定すると落ち着いてくるお子さんは、陽差しが関係している可能性があります。
どうしたらいいの?
陽差しの関係で睡眠や気分の変調が見られるお子さんは、「朝、決まった時間にカーテンを開けて十分に光を浴びる」「朝食をしっかり食べる」「寝る前のタブレットを控えてブルーライトを目に当てない」「夜はできるだけ暗くして寝る」などを心がけます。
睡眠障害でお困りのお子さんは、メラトニンを主成分とする「メラトベル」というお薬をお医者さんから出してもらえる場合があります。比較的安全なお薬なので相談してみてはどうでしょうか。
冨樫 敏彦/トモデココ顧問。児童相談所勤務時に作成した「T式乳幼児発達検査」は、現在徳島市教育委員会の標準検査とされ、就学に向けた教育相談を受ける全ての児童に活用されている。みなと高等学園の創設に携わり初代校長を務めた後、徳島文理大学児童学科で教壇に立つ。現在は、徳島県教育委員会 特別支援学級運営充実検討委員会 委員長をはじめ、各委員・講師を委託されている。
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