第1回 季節の変わり目がつらい子どもたち
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シリーズ・子育てに生きる豆知識スタート!
こんにちは、トモデココグループ&SOU(ソウ)で顧問を務めている冨樫です。トモデココグループ&SOUでは、療育でお預かりしているお子さんと保護者の皆様だけでなく、多くの方の子育ての悩みや疑問を解消するお役に立ちたいという思いから、顧問コラム「子どもが見えると 明日がかわる」をお届けいたします。
第1回シリーズは「子育てに生きる豆知識」として、これからおおよそ4ヶ月に1回程度の頻度で掲載いたします。私たちは、この発信を通して、近隣にお住まいの方々への地域貢献はもちろんのこと、より広い社会の子育て世代の皆様のお役に立ち、子どもたちの健やかな成長を支えていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
初回は「季節の変わり目がつらい子どもたち」というテーマでお伝えします。子どもの「なぜ?」を理解し、毎日の生活や日々の子育てに役立てていただければ幸いです。
第1回 季節の変わり目がつらい子どもたち
春と秋は、気温が穏やかで、一年のうちで最も過ごしやすい季節だと言われます。しかし、私がこれまで教育と療育の現場で勤めてきた印象では、この時期にかえって睡眠や気分が不安定になるお子さんが2割程度いるように感じています。具体的には、春は3月から5月、秋は9月から11月ごろにその傾向が出やすいという印象です。(※この「2割程度」という数字は、T式乳幼児発達検査で保護者の方が回答された割合に基づいています)
3月から5月にかけては、日の出の時刻が早くなり、昼の時間が長く、太陽の光が強くなっていきます。逆に9月から11月にかけては、日の出が遅くなり、昼の時間が短く、光が弱くなっていきます。言い換えると、この二つの季節は、一年のうちで昼の長さと太陽の明るさが「急速に変化する時期」だと言えます。
⒈ 光とメラトニンの関係
私たちの体には、朝になると目覚め、夜になると眠くなるという「体内時計」の仕組みがあります。夜になると、脳にある「松果体(しょうかたい)」という部分から、「メラトニン」という睡眠を促すホルモンが分泌され、自然な眠気が起こります。一方、朝に太陽の光が目(網膜)に入ると、その情報が脳に伝わり、メラトニンの分泌が抑えられて、身体は目覚める方向へ切り替わります。
つまり、朝の光は「起きる時間」を、夜の暗さは「眠る時間」を身体に知らせる大切な手がかりになっているのです。
「秋になると、なんとなく気持ちがふさぎがちになる」と感じる方もおられると思います。秋から冬にかけては日の出の時間が遅くなり、朝の時間になっても外がまだ薄暗い日が増えてきます。そのため、朝起きる時間になっても、朝の光による体内時計への刺激が弱く、メラトニン分泌の抑制が十分でないので、目覚めのリズムが整いにくくなることがあります。
言い換えると、「秋になると、時計では朝の時刻なのに、身体はまだ夜のリズムから抜けきっていない状態」が起こるのです。こうしたことが、朝の眠気やだるさにつながっている可能性があります。
春は、これとは反対の変化が起こります。昼の時間が長くなり、夕方の時間になっても外がまだ明るい日が増えてきます。夕方以降も家の外が明るい日が増えると、メラトニンの分泌が抑制されて、眠りに向かう身体のリズムに影響することがあります。特に子どもは、夕方以降も明るいことが、メラトニンの分泌を抑制しやすいことが報告されています。
このように、春や秋の季節の変わり目には、「時計による生活時間と、光によって調整される体内時計との間にずれが生じ」、気分や行動、睡眠リズムに影響する場合があるのです。
ここまで述べたメカニズムは、春や秋の子どもの不調をすべて説明できるほど、完全に実証された理論ではありません。しかし、私自身の経験から、環境の変化に敏感なお子さんや、もともと睡眠リズムが不安定なお子さんでは、こうした「季節の変わり目の影響」を受け、やっとできるようになったことができなくなったり、感情や行動、睡眠リズムが乱れやすくなることがあるという印象を持っています。

⒉ 春の担任交代、秋の運動会が原因かも
この時期に睡眠のリズムが崩れ、感情が乱れると、春は「新学期で担任の先生が替わったから…」、秋は「暑い中での運動会の練習がつらいから…」と、環境の変化や行事を不調の原因として考えてしまいがちです。もちろん環境の変化も大きな要因ですが、これまでお伝えしたように「光の急激な変化に、体内時計の調整が追いついていないこと」も深く関係している可能性があります。

皆さんの中にも思い当たる場合は、「いつ頃から」「どんな様子か」を記録してみてください。「担任の先生が持ち上がりだった年」、「酷暑のため運動会の開催時期が変わった年」でも、同じ時期に気分や睡眠の不調が見られ、夏や冬になって昼夜の長さが安定してくると落ち着くパターンが見られたら、光(日照時間)の変化が影響している可能性が考えられます。
⒊ どうしたらいいの?
光の影響による睡眠や気分の変調が疑われるお子さんについては、次のような生活習慣の工夫が一般的に勧められています。
□朝は決まった時間にカーテンを開ける:しっかりと朝の光を浴びて体内時計をリセットします。
□就寝前のスマートフォンやタブレットの使用を控える:ブルーライトはメラトニンの分泌を妨げます。
□夜は部屋を暗くして寝る:小さな豆電球や間接照明も消し、できるだけ暗くして、目を閉じてもまぶ たの裏に光を感じない状態を作ります(最近の研究では、豆電球やカーテンから漏れる薄暗い明 かりでも、入眠を妨げたり深い睡眠を減少させたりする可能性があることが報告されています)。

こうした工夫を続けても睡眠の乱れが強く、日常生活に支障が出ている場合は、一度かかりつけの医師にご相談ください。発達障害などに伴う睡眠障害に対しては、メラトニン受容体作動薬(メラトベルなど)というお薬が処方されることがあります。このお薬は6歳以上15歳以下のお子さんを対象としており、服用にあたっては医師の診察が必要です。
トモデココにも、不眠が強く、夜中の1時ごろまで布団の上でゴロゴロしてしまい、母子ともに慢性的な睡眠不足になっていたお子さんがいました。このお薬の服用を始めてから、ぐっすり眠れるようになったそうです。眠れるようになると昼の活動も改善されてくるので、同じような症状が見られる場合は、医師にご相談されてはいかがでしょうか。
ただし、お薬の効き方には個人差があり、すべてのお子さんに同じような効果があるとは限りません。また、昼間の眠気や頭痛、イライラし易くなるといった副作用が出ることもあります。お子さんに合うかどうかは、必ず医師とよく相談しながら、様子を見て判断していくことが大切です。
次回も、子育てのヒントになるテーマでお届けしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。






